貴女が去り逝く時の中

       チリンと震える鈴一つ

終焉告げる鐘となる


−亡き者へ−


今 眼に長江が映っている

もうここには二度と来る事はないと思っていた

「あの日」から

あの日貴女は、この長江に溶けるように消えた

ただ一つ、片方だけになった翡翠色の耳飾を残して

後悔した 無理やりにでも手をひいて止めなかった事を

胸が張り裂けそうだった 心が悲鳴を上げた

−何故−

問いたくても答えてくれる者はいない

喉が潰れるぐらい名を呼び叫んだ でも振り返ってくれる貴女もうはいない

怒る顔

    寂しそうな顔

          泣いている顔

                ・・・笑っている顔

いつも私の心を満たしてくれた

一つ一つの仕種が大好きで 全てが愛しくて 離したくなかった

だから

貴女とあった全ての出来事が 鮮明に思い出される

あなたの声 抱きしめた時のぬくもり 何一つ忘れていない

最後の・・・約束も・・・

      −『私がもしいなくなっても泣かないでね 笑っていてよ?約束だよ・・・』−

本当は守りたかった けど 

悲しみを通り越して 涙一粒すら流れなかった

それと同時に笑う事も二度と出来なくなった

最後の約束一つ守れない自分がいる

時も長江も貴女がいなくても留まる事を知らずに流れていく

でもあれから私の時は留まったままで

だからまだ貴女がいるように思えて

ふいに隣に手を伸ばしてみる

けど

手はただ空を切るのみ

伸ばした指の間を風で舞った花弁がすり抜けてゆく

花弁は波紋を創って水に落ちた

それが流れてゆく様をのみこまれて消え逝くまで見届けた

貴女がいない事を

これは現実なのだと

思い知らされた

どんなに名を呼んでも   

          どんなに願っても

二度と貴女は戻らない

−モウアナタハイナイ−



陸尚です。暗い・・・次こそは明るいのを・・・


製作日/1.29

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